田舎の暮らし

自然のスーパーマーケット、五月の山便り🕊🌱

ゲコゲコゲコと…
満点の星空を突き抜けるような
大音量のオーケストラが、5月の山々に響き渡っています。

こんにちは。久美子です。
本格的な夏の訪れを知らせる蛙たちは、今まさに大合唱で大忙し。

七十二候では、五月五日から九日頃の期間を
蛙始鳴かえるはじめてなく」と呼びます。

その名の通り、野原や田んぼでは一斉に
蛙たちの声が響きはじめるのです。

——カエルよ、君たちの中にも暦があるのかい?

そう言いたくなるほど、自然は人知を超えて
調和しているものですね。

この時期の野山は、益々瑞々しさを増します。

「自然のスーパーマーケット」とでも言いましょうか…

その生命力の強さは、私たちにも豊富な恵みを、分け与えてくれます。

筍、ふき、よもぎ、スギナ、ピーピー豆……
どれも力強く輝いていて、伸び伸びと気持ちよさそうに佇んでいます。

普段は「雑草」と呼ばれることも多い野草。

ですが実は、ミネラルや食物繊維、ビタミンがとても豊富!

人の手を借りず、農薬や排気ガスともほとんど無縁で育った野草たちなので、その確かな生命力を、ぜひ食卓に〜!

…とは思うのですけどね。なかなか智慧が身に付かない私。

母が生きているうちに、先祖代々守ってきた
「自然と共に生きる知恵」を、受け継いでいかねばなりませんね。この山と共に。

そんなことを思いながら、娘を連れて裏山へ。
竹の子が顔を出していないか、様子を見に行きます。

先週も採ったばかりですが、雨上がりの竹の子はびっくりするスピードで成長して行くものですから💦伸びきる前に掘らないと、あとが大変なのです。

落ち葉が重なり、ふわふわになった地面を注意しながら歩くと…ほら、あったあった!立派な竹の子🤤

宝探し気分の私とは裏腹に、
慣れない山歩きに戸惑う娘。

いつもは整備された公園や道しか歩かないもんね。歩きにくいよね。

いつか、この田舎を好きになってくれたらいいな……そんな淡い期待を胸に。

採った竹の子は、すぐに下処理へ。

時間が経つとアクが出てしまい、味も落ちてしまう為、
ここはスピード勝負!

ちゃっかり母に頼っているあたり、
私の自信のなさが滲み出ていますね。

ぬかと水を入れて、コトコトと数時間。

時間も手間もかかるけれど、
旬のものを旬のうちにいただける贅沢は、
何ものにも代えがたいです。

こちらは「親竹」に選んだ一本。
立派な竹の子を産んでくれることでしょう。

親竹とは…竹林で「竹の子」を産むために残される竹のことです。

この山を継いだはいいものの、
知らないこと、学ぶことばかり。

母が元気に歩けるうちに、どれほど吸収できるのだろう……と、少しの焦りも感じています。

思えば私は子どもの頃、
この田舎の暮らしが嫌で嫌でたまりませんでした。

娯楽はないし
近所はお爺ちゃんお婆ちゃんばかり。

人口より野生動物のほうが多く、
コンビニまでは10キロもある。

バス停なんてないし
自動販売機すらない。

そして何より、電波が飛ばなかったこと
どうしても嫌でした。

イケイケJKだった私(言い方が昭和ですね)にとっては、それはもう死活問題で……電波を求めて町まで歩いたこともあります。

こんな田舎、絶対に出て行ってやる!
そう思って、高校卒業と同時に半ば家出同然で一人暮らし。

——けれど結局、
カエルの子は、帰る」のですね。

人生の折り返し地点に差しかかった今、
ようやくこの暮らしの豊かさが、
静かに胸に染みてきました。

ニホンアマガエルは繁殖期になると、生まれた田んぼに戻ってくるそうです。それが「カエル」という名前の由来なのだとか。

この土地と、季節の手しごとを、
今度は私が守っていく番。

静かな使命感のようなものが、
心の奥で、そっと芽吹きはじめています。

きっとこれは、
日本人として、ここで生きていくための
“根っこ”なのでしょうね。